(研修の話題から1)「椀と箸を持って来やれと壁をぶち」という川柳の話から
公開日: 2015-12-22
先週、日本保育協会主催の研修会に参加してきました。3日間の研修に全国から300名ほどの参加者があり、いろいろ勉強させてもらいました。その中で我が園の保育士や保護者の皆様に是非お伝えしたい情報がありましたので、今回から数回に分けてブログで紹介してまいります。
まずは、高橋達郎氏の「コラム江戸」の話から。
「椀(わん)と箸(はし)持って来やれと壁をぶち」
という川柳は、長屋の暮らしをみごとにとらえている。隣の住人の腹の虫が鳴くのが聞こえたのだろうか、今日はこっちに来て一緒にご飯を食べようと、薄い壁を叩いて知らせているのである。でも、こっちも椀と箸は人数分しかないから、持って来いよ──くらいの意味だ。
貧しい生活ではあるが、そこには暗さがない。なぜか。みな一様に貧しかったからである。困ったときは誰かが助けてくれた。余裕のあるときは、誰かを助けることができた。長屋というコミュニティーには、その日暮らしの住人も確かに多かったが、助け合いの精神がしっかり根付いていた。
以下寺田清美先生(東京成徳短期大学教授)の研修資料から。
赤ん坊の鳴き声の違いにも気付き、乳が不足していれば、もらい乳を隣人がしてくれます。困ったときは誰かが助けてくれました。余裕のあるときは、誰かを助けることができました。長屋というコミュニティには、その日暮らしの住人も確かに多い状態でしたが、よその子も我が子と同様に見守る、助け合いの精神がしっかり根付いていたのです。
今日の子育てへの無関心、冷酷さ
電車やバスに乗ると、子ども連れは邪魔にされ、子どもが泣いた場合などは「泣かせるな」と怒鳴られる等、肩身の狭い思いをすることが少なくありません。また、妊娠マークをつけた女性や子どもを抱いた親子が優先席のまえにたつと、寝たふりをする乗客がいるなど、子育て世代に無関心な人が増えていると言えます。社会全体で子育て世代に理解と思いやりを持ち、あたたかな姿勢を持ちたいものです。
現在、成人になる間に、小さい子どもを抱いたり、遊ばせた経験のない者が4人に1人。さらに、小さい子どもの世話をする経験は、2人に1人がしていません。つまり、子育てする人(モデル)を身近に持たないまま大人になっているのが現状です。
(出典:原田正文「子育ての変遷と次世代育成支援)
「社会」のすべての人が、子育てにどのように責任を果たしていくのかが、今問われています。
・・次号に続く・・
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